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Q.歯周病菌がおこす炎症で『老人斑アミロイドβ』が増えてしまうとは驚きです。
なぜそんなことが起こるのでしょう?
A.Pg菌が歯茎に入り込んで来ると免疫細胞がさかんに応戦します。これらの免疫細胞の過剰反応によりたくさん出る「カテプシンB」という酵素が免疫細胞と周りの細胞を傷つけ、その結果、老人アミロイドβがさかんにつくられてしまうのです。
それではここからは、私達の研究について、順を追って具体的に説明していきたいと思います。まずは、「なぜ歯周病菌の起こす炎症によて老人版アミロイドβが増えてしまうのか」の説明からはじめましょう。
歯周病の炎症で歯茎の粘膜に破れ目ができると、Pg菌がその内部に侵入します。すると歯茎にいる免疫細胞がすぐに侵入者を察知して、やっつにかかります。
必死に戦う免疫細胞はこのとき、カテプシンBというタンパク質分解酵素を自分のリソソームからたくさん出します。
カテプシンBは、本来は不要なタンパク質を片付けるための酵素です。ですが、これが過剰に存在すると、やっつけられたPg菌だけでなく、周りの細胞を傷つけてしまうために、異常なタンパク質「老人版アミロイドβ」が増産されてしまうわけです。老人斑アミロイドβは、いわば免疫細胞の過剰が引き起こす副産物的なのです。じつは、これまで、老人斑アミロイドβは脳でつくられ、それが脳に蓄積されていると考えられてきました。しかし、私たちの研究の研究を進めていくと、実際には意外なことに、歯周病菌による炎症がおきている歯茎でさかんに作られていりることが明らかになりました。
この研究ではもうひとつ新たな発見がありました。「血液の関所である肝臓にもPg菌が存在し、老人斑アミロイドβがつくられている」ということがわかったのです。
Pg菌がたくさん歯茎に入り込むと、免疫細胞の取り逃がしたPg菌が血流に乗って全身を巡ります。Pg菌が歯茎だけでなく、全身のあちこちに到達して炎症をお越し、老人斑アミロイドβをつくっているの、かもしれない・・・。
肝臓でのPg菌と老人斑アミロイドβの発見は、こんな恐ろしい可能性をも示唆しているのです。
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